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オレの膝に頭を預けて瞳を閉じたコイツの顔は「何か」を悟ったように穏やかで。
なんでお前、荒垣サンやチドリとおんなじ顔してんだよ。
お前にその顔は似合わねえンだよ。。
「起きろよ…」
返事はない。
こいつが目を覚まさないことにどうしてだかオレは気付いてる。
でも認めない。
認めらるわけねえ。
「なぁ…」
頼むから、返事してくれよ。
まだお前に言ってないことがたくさんあるんだ。
一緒に行きたい場所だって。
お前のことももっと教えてほしかった。
一緒に、生きたかった。
お前も結局、先に逝っちまうのか。
殺したって死ぬような人間じゃなかったくせに。
どこからか落ちてきた水滴が、目を閉じたままの顔に当たって濡らしてく。
普通物語の最後はハッピーエンドで終わるもんだろ。
目を覚ませよ。
冗談だって、心配したのかって笑ってくれよ。
今なら一発殴るだけで赦してやるから。
あんなに苦労したんだから、幸せになったっていいじゃねえか。
世界救った人間が救われねえなんて、そんなん冗談じゃねえよ……!!
視界がぐちゃぐちゃになってはじめて、自分が涙を流してることに気付いた。
「頼むから…」
眠ったようにしか見えない顔に、そっと口付ける。
遠い昔に読んだ童話のように、物語のように、目覚めてくれることを祈りながら。
いつまでも二人は幸せに暮らしました、そんな御伽噺を信じて。
ほんとは最期のキスになると知っていた。
現実は、甘くも優しくないんだ。
世界を救ったヒーローは、いまここで、オレの膝の上で死んでいく。
それでも諦めきれずにキスをする。
目を開けてくれないかと、馬鹿みたいな希望に縋りながら。
おれはおまえが、すきだったよ。