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テオ伊。続き

書いても書いてもおわらねええええええ
あとエロ成分ゼロです。


 


前回のことでわかっていたことだが、目の前の青年は荒事には向いてなさそうな外見とは裏腹に力に限って言えばパーティー内でも1,2を争う順平が正面で負ける程の腕力の持ち主らしい。
要所要所の間接は体重で上手く押さえられ大きな動きが取れない割りに、痛みは感じていない。
仰向けになり揉み合いのせいで忙しく上下する薄い胸の上にするりと右の掌が置かれた。
その途端今まで聞こえていたのとは比べ物にならないほど大きな警告音が頭の中で煩いほど鳴り響いた。それと連動するように心臓の鼓動のリズムも激しさを増す。
「な、にを―――」
するんだ、と半ば掠れた声で問いかける。おそらく今の自分には困惑と恐怖の顔が張り付いているだろう。そんな煩悶にも気づかないのかあるいは気づいているが知らない振りをしているのか、最早お馴染みのあの微笑を順平に見せた。
「私にも見せてください。もう一人の『あなた』を」
胸に乗せた掌に僅か力が加わった、と感じた瞬間。
まるで水面に手を入れるかのような気安さで腕が音もなく胸のなかへと沈んでいく、目を疑う光景が目の前に広がっていた。
痛みはないが違和感がひどい。自分ではないものが自分のかなに存在するなんとも言いがたい感覚に眩暈が起きる。
「ハアッ、ハッ、ハッ」
緊張に耐えかねて大きく息を吸った、その瞬間だった。
順平の背中から出ることもなく肘の辺りまで埋め込まれたまま胎内を探っていたその指が、何かに触れたのは。
「―――捕まえた」
「がっ!?あ、ああ゛ああ゛!!」
ず、という音とともにゆっくりと引き上げられていく腕。その度に走る激痛に獣のような叫び声を挙げた。
苦痛に押さえつけられた躰が無我夢中で暴れる度益々痛みが激しくなり、それによって更に躰が跳ねるという悪循環に陥った順平にテオは首を傾げる。
「やはり人の精神というものは捕らえ難い・・・・・・それともあなたが特別なのでしょうか?」
頭の中を切り開いて直接覗かれるような、無遠慮に脳を荒らされているような不快な感触。
違和感と頭痛に吐き気に襲われた目に徐々に現れたその姿。
「MAGICIAN、ヘルメス・・・」
順平の半身である、その姿を両手で掴みながらテオは呟く。
大空を滑空していた金色の翼は無残にも半ばほどまでで溶けており全体の形もどことなく歪み、端々は空中と同化して消えかかっている。
「ぎっ・・・、がぁっ・・・」
「すみません、もう少し我慢してください」
引き吊り出される程痛みはひどくないものの、暴れれば暴れるほど痛みが増すために身動きが取れず、目をきつく瞑りただ耐えるしかできない。その間もテオは滔滔と順平の半身に関しての知識を述べる
「オリュンポス十二神が一柱。旅人、商人、羊飼いの神でありその素早さから盗人の神とも崇められ、神々の伝令役を務める。しかし」
僅かに翼が弱弱しく羽ばたくもののテオドアの手を逃れることはできず、弱った主人の状態とシンクロしているようだった。
 

「―――ヘルメス<あなた>の翼はどこに向かうためのものなんでしょうね」
 

―――順平の持つ適応性も社交性も、現状を楽しもうとする意思の現れにすぎず、それ自体はどうということはない。ただし、順平にとってはどうしようもない現実から目をそらすための手段でもあり―――
 

「っ!!!」
 

突然現れた業火がヘルメス自身から噴き出しその身を包みこむ。
テオはとっさに掴んでいた両手を離し素早く身をそらしたものの一瞬間に合わずじゅぅ、と焼け焦げる音と生臭い匂いがあたり一面に広がる。
それと同時に手を離されたことによってヘルメスが自分の中に「還って行く」感覚がした。ペルソナを召還し終え消えていく瞬間に感じるのと同じものだ。無理やり召還され現世に押し留められていた半身が主の中へと再び沈んでいくと共に耐え難い痛みも治まったことに気がついた。



 

「驚きました。力の代行者たる私には凡その攻撃が効かないというのに・・・どうやらあなたを見誤っていたようだ」
テオは肘まで無残に焼け爛れているというのに動じる様子もなく、興味深げに火傷を見つめ、暫く見つめたが軽く2、3回軽く手を上下に振ると次の瞬間には傷跡がまるで嘘のように消えうせた。
「余程知られたくないのか、自分を守ることに長けているのかどちらでしょうか。或いは・・・・いえ、今は止めておきましょう」
又同じことが起きてもつまらない、と呟く。
「未だ逆位置故に寓意は未熟、経験不足、弱い意志・・・ですが、正位置に反転するのも遠い日でもなさそうだ」

 

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